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2010年03月28日(Sun) 【綺麗な月(日和/妹太)】 僕は。 こんなことを言いたいわけじゃないのに。 貴方に。 そんな顔をさせたいわけじゃないのに。 ■綺麗な月■ 「妹子」 静かに優しく耳に響く、太子の声。 「なんですか、太子」 僕は高鳴る心臓を必死に押さえながら、太子へ目を向ける。 薄く微笑む彼。 とても綺麗だった。 まるで、夜空に浮かぶ穢れなき月のように。 「好きだよ、妹子」 ゆっくりと紡がれた言葉。 僕は急いで太子から目を逸らす。 嬉しさと切なさで、心が壊れそうだ。 「……冗談は止めてください」 しんと静まり返った室内に、感情のない声が響き渡る。 太子は悲しそうに顔を歪めて、力なく立ち上がった。 音もなく襖が開く。 「……本当なのに」 襖を閉める音とともに、確かに聞こえたその言葉。 太子、と小さく呼んで、閉まった襖を勢いよく開ける。 ずっと遠くに見える、太子の背中。 ああ、もう遅いのだ。 「僕は、本当は……」 本当は、貴方が。 暗闇に溶けていく彼。 いくら欲しくても、いくら望んでも。 手に入らない。 あの綺麗な月だけは。 手に入れてはならない。 END ****** 一歩踏み出せない妹子さんなのでした。 重要なお知らせ@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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